
1カ月前に退職を願い出ても大丈夫?円満退職のコツをおさえよう
2020/10/10「転職先から早めに入社してほしいと言われている」「職場が合わず、つらいから早く辞めたい」 このような理由から、できれば1カ月後に退職したいと考えていませんか?
なるべく早く退職したいと思いつつ、退職の1カ月前に申告しても問題ないかと、不安を抱えやすいと思います。
結論を言うと、退職の意思を伝えるのは、法律上1カ月前でも問題ありません。しかし、正規雇用と非正規雇用どちらかによって法律が異なる部分もあります。
そこで本記事では、次の内容についてお伝えします。
- 退職申告のルール
- 退職の意思を伝える時の3つのポイント
- 「退職しないでほしい」と引き止められた時の対処法
ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
退職の申告は1カ月前でも大丈夫?
退職の申告は、基本的に1カ月前でも大丈夫です。 ただし、契約期間に定めがない正規雇用の場合、契約期間が決まっている契約社員や派遣社員の場合では、少し法律が異なります。 また、円満退職するためには、就業規則の確認も必須です。それぞれの理由を順番にお伝えしていきます。
正社員など契約期間に定めがない場合
正社員など、雇用期間に定めがない正規雇用の場合、いつでも雇用契約を解約できると民法627条1項で定められています。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用:電子政府の総合窓口
このように、退職を願い出てから2週間後に契約を解約できると決まっています。そのため、1カ月前に申告するのは法律上問題ありません。
契約社員など契約期間に定めがある場合
契約社員や派遣社員など、年単位などで契約期間を定めている場合は、どのくらい勤めているのか、また退職したいタイミングによって該当する法律が異なります。
退職の1ヶ月前でも問題ないケース:契約から1年経過している、体調不良などのやむを得ない事情がある場合
1カ月前の申告では受理されないケース:契約から1年経過していない、やむを得ない事情が特にない
契約社員などの有期雇用契約の場合、契約を結んでから1年を経過していれば、いつでも退職可能です。(参考:労働基準法137条) また、民法628条にて、体調不良や家庭の事情など、どうしても退職をせざるを得ない状況の場合は、すぐ契約を解除できるとも定められています。 正規雇用の場合と比べると少し複雑なので、退職を願い出るタイミングで会社とよく相談することをおすすめします。
就業規則の確認も忘れずに
ここまでお伝えした退職に関する法律と合わせて、会社の就業規則を確認しましょう。 会社側は業務の引継ぎや従業員の補充などを行うために、一定の期間が必要と考えている場合が多いです。そのため、会社によっては就業規則で「退職の2カ月前までに申告しなければならない」など、退職を申告するタイミングを定めています。 退職までの期間のトラブルを避けるためにも、就業規則の確認も忘れずにしてくださいね。
- 法律上、退職の申告は1カ月前でも問題ない
- しかし、円満退職をするためには就業規則の確認も必須
退職を伝える時の3つのポイント
ここでは、実際に退職の意思を伝える時に覚えておきたいポイントを紹介します。
- 早めに退職の意思を伝える
- 退職理由はなるべく前向きに伝える
- 必ず上司へ報告する
それぞれのポイントを順番に見ていきましょう。
1.早めに退職の意思を伝える
退職の意思が固まったら、なるべく早めに退職の意思を伝えるよう心掛けましょう。会社側は人材の補填や配置転換を考える必要があるからです。
また、退職する自分自身も、業務引継ぎや取引先への挨拶など、退職後も円滑に業務が周るようにして配慮することが大切です。 退職の1ヶ月前の申告でも問題ないとお伝えしましたが、できれば1カ月半~2カ月前には伝えることをおすすめします。
2.退職理由はなるべく前向きに
上司に退職の意思を伝える際、退職理由はなるべく前向きに伝えましょう。
次のような退職理由は、引き止められたり、トラブルの原因になったりするので注意してください。
- 会社に対する批判
- 上司や同僚の悪口
- 給料が少ない
- 残業が多い
- 人間関係のトラブルがある
さまざまな理由があって、退職の意思を固めた人もいると思います。しかし、正直に伝えすぎてしまうと会社との関係が悪くなり、円満退職が困難になってしまいやすいです。
会社が納得できるよう、次のように前向きな退職理由を伝えましょう。
- 新しい目標ができたのでキャリアアップしたい
- 家庭を優先したいと思った
仮に退職理由がネガティブなものだったとしても、なるべくポジティブに伝えるのがポイントです。
3.必ず上司へ報告する
退職の意思を伝える際は、必ず直属の上司に伝えるようにするのがマナーです。
上司に伝える前に同僚や取引先に退職することを伝えて、別の人から上司に退職の意思が伝わると印象が悪くなってしまいます。そのため、退職が受理され退職日が決まるまでは、基本的に退職することを公にしないよう気をつけましょう。
- 早めに退職の意思を伝える
- 退職理由はなるべく前向きに
- 必ず上司へ報告する
もしも引き止めにあった時の対処法
退職の意思を伝えたのに「辞められたら困る」と、引き止められてしまうケースもあります。
万が一、引き止められた場合の対処法は次の3つです。
- 折れずに辞める意思を伝える
- 内容証明を送る
- 退職代行サービスを利用する
ひとつずつ説明していきます。
1.折れずに辞める意思を伝える
まず、「辞めないでほしい」と引き止められても、退職の意思を撤回しないようにしましょう。法律でも定められている通り、従業員には辞める権利があるからです。
「優秀な人材だから辞めないでほしい」「人員不足だから辞められたら困る」などの理由で引き止められるかもしれませんが、情に流されないようにしましょう。
2.内容証明を送る
どうしても会社側が退職に応じてくれない場合は、内容証明を送るのもひとつの手段です。内容証明とは、届出人がどのような内容を誰宛にいつ送ったかを証明してくれる書類です。
退職の意思が受理されないと手続きを済まさずに逃げたくなってしまうかもしれません。けれども、手続きを踏まずに逃げてしまうと懲戒解雇や損害賠償の請求をされてしまうおそれも。 しかし内容証明を送ることで、会社に退職届をしっかり提出した証明を残せるので、トラブルを回避しやすくなります。
3.退職代行サービスを利用する
何をやっても会社が退職に応じてくれない、暴力などのハラスメント行為があるため自分で伝えるのが怖いという場合には、退職代行サービスの利用を検討しましょう。
- 退職代行サービスでは利用者に代わって、以下の内容をサポートしてくれます。
- 利用者に代わって退職の意思を伝える
- 退職日の調整
- 有給休暇取得の交渉
- 退職手続きの代行
利用料金が、約3万円~5万円ほどかかります。少し高いと感じるかもしれませんが、会社に行かずに退職できるので、精神的負担を軽減できます。 どうしても会社が退職に応じてくれない場合などに、退職のプロにサポートしてもらってくださいね。
- 引き止められても折れずに辞める意思を伝える
- 内容証明で退職届を送ることで、確実に退職届を送付した証拠が残せる
- どうしても退職手続きが難航する場合は退職代行サービスを利用する
まとめ|法律・就業規則を確認して退職準備をしよう
正規雇用の場合は、基本的にいつでも退職できること、また有期雇用の場合は条件を満たせばいつでも退職できることをお伝えしました。 法律に加えて、会社が就業規則で「退職する〇ヶ月前までに退職の申告をする」など、定めている場合もあるので、忘れずに確認するようにしましょう。
また、会社と自分がお互い気持ちよく次に進められるように、引継ぎなどを考慮して退職の準備を進めてくださいね。